皮脂の成分についてのちょっと細かなまとめ

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皮脂の成分

皮脂といえば、テカリ、べたつき、ニキビや吹出物、化粧崩れなど、嫌なイメージがいつまでもどこまでもつきまとっていますよね。多くの人にとって、皮脂の分泌のバランスを整えていくことは課題であり、そのバランスは健康な肌かどうかのバロメーターでもあります。

今回は、そんな皮脂を、ちょっと細かく見ていきましょう。

直接スキンケアに役立つ、ということはないかもしれませんが、知識として蓄えておくと、もしかしたらいつか役に立つときが来るかもしれません。

当記事でいう「皮脂」とは

先に予備知識として言っておくと、我々が普段使っている「皮脂バリア」という言葉は、「皮脂膜」のことを指しています。

『スキンケア大学』によると、皮脂膜はこういうものです。

お肌の汗腺(汗の腺)から汗を出し、皮脂腺(脂を出す腺)から脂を出し、これをお肌の上で混ぜ合わせて出来た、天然の保護膜の事です。 皮脂膜がお肌を覆うことにより、水分の蒸発や細菌などから守ってくれるスグレモノ。 PHは4~6の弱酸性を保つことにより、酸の力で殺菌してくれています。

引用元:スキンケア大学

つまり、内訳としては、

 皮脂膜 = 汗 + 皮脂☆

ということになります。ここで「そうだったんだ!」と驚かれた人もいると思いますが、そう、汗も交じった状態のもののことをいうのですね(脂汗と似ていますが、それとはニュアンスが大きく異なります)

さらに、上記 ☆の皮脂というのは、正確には「皮表脂質」といい、厳密には以下の内訳になっています。

 皮表脂質 = 皮脂腺で作られた元の皮脂 + 角質細胞にある表皮脂質

しかし便宜上、

当記事では、皮表脂質のことを皮脂として取り扱ってお話を進めていきます。

当記事での皮脂とは

 我々が通常「皮脂バリア」と呼んでいるのは実は「皮脂膜」。そこから “汗だけを省いた部分の成分” についてお話を進めていく。・・・というだけのことだ。難しく考える必要はない。なお、他の記事でもだいたいそのような意味で「皮脂」のお話をしている。例えば、「皮脂とは?汗とは?これらの明確な違いとは一体何か?」の記事でもそうなっている。

成分

一般的に、皮脂の成分としては以下のものが挙げられます。

  • トリアシルグリセロール(約25%)
  • ジアシルグリセロール&モノアシルグリセロール(約10%)
  • 遊離脂肪酸(約25%)
  • スクアレン(約10%)
  • コレステロール(約1.5%)
  • コレステロールエステル(約2.5%)
  • ワックスエステル(約22%)
  • その他

※ 数値データは『Doctor’s Organic』を参考にしました。

では、一つずつ解説していきましょう。

トリアシルグリセロール

TG

少し長いカタカナ名ですが別名「トリグリセリド」といい、「グリセリン脂肪酸エステル」の一種です。

グリセロールに3つの脂肪酸が結合したものです。英語では「Triglyceride」なので、略して「TG」や「TAG」と書きます。

皮脂には約25%も入っています。ニキビの要因のひとつであるアクネ菌が好む成分でもあり、アクネ菌はこれを分解し、遊離脂肪酸を発生させます(詳しくは「遊離脂肪酸」の項でお伝えします)。

また、動物の持つ中性脂肪のうちのおよそ9割は、このTGであると言われています。そのため、あなたが身にまとっている脂肪のほとんどがこの成分なのです。聞き馴染のない成分ですが、何も珍しいものではないのです。

 ついでに述べておきたいことがある。TGの値が大きくなると、心筋梗塞や脳卒中などの血管の病気にかかる確率が上がったり膵炎(すいえん)や脂肪肝にかかってしまうリスクも上昇する。逆に、そういった病気が隠れていたりすることで数値が上がるだろう。 体質が原因でTGの値が高くなることもあるが、脂っこい食事をしていたり食べ過ぎていたり、アルコールをのとりすぎていたりといった行為が大きく影響するに違いない。運動不足なども関係している。そのため、日頃の生活の質が低下していないか再確認してみよう。

ジアシルグリセロール

DG

またもや頭が痛くなりそうな名前ですが別名「ジグリセリド」で、「グリセリン脂肪酸エステル」の一種です。

グリセロールに2つの脂肪酸が結合したものです。英語では「Diacylglycerol」なので、略して「DG」や「DAG」と書きます。

皮脂には、後述の「モノアシルグリセロール」とともに約10%入っています。

元々、よく食品添加物としても用いられている成分で、パンやジュース、菓子などに乳化剤や増粘安定剤として添加されることが多いようです。また、例えば某化学メーカーが販売していた食用油の主成分でもありましたが、その健康性に関してはまだまだ議論の余地があるようです。

モノアシルグリセロール

MG

別名「モノグリセリド」といい、「グリセリン脂肪酸エステル」の一種です。

グリセロールに1つの脂肪酸が結合したものです。上のジアシルグリセロール(DG)と合わせてモノアシルグリセロールと呼ぶことが多いですが、ここでは分けて考えましょう。英語では「Monoacylglycerol」なので、略して「MG」や「MAG」と書きます。

皮脂には、DGとともに約10%入っています。

これも、DGと同じく乳化剤として利用されることの多い成分のようですね。むろん、皮脂から抽出したMGを使っているわけではないので、勘違いしないようにご注意くださいね。

遊離脂肪酸

FFA

「トリアシルグリセロール」(TG)の項で、アクネ菌がTGを分解して遊離脂肪酸が発生すると述べましたね。TGはグリセロールと脂肪酸がくっついた状態なのですが、アクネ菌によって発生した遊離脂肪酸こそが、元々グリセロールとくっついていた脂肪酸です。

少し回りくどい言い方になってしまいましたが、簡潔に言えば「グリセロールと結合していない(つまり遊離している状態の)脂肪酸」のことを遊離脂肪酸という、ただそれだけです。

皮脂の成分のひとつとしてここに挙げているわけですが、実を言うと、皮脂腺で作られる元々の皮脂(本来の意味の皮脂)には含まれていません。皮膚上に存在する常在菌が分解することで生成されているのです。アクネ菌による分解もそのひとつです。

一般的に、遊離脂肪酸は肌に刺激になってしまうと言われています。かゆみや肌荒れを引き起こす要因のひとつでしょう。25%もの量が含まれているとなると、少し怖いですよね。

しかし、皮膚上の常在菌は約1兆個も存在し、遊離脂肪酸が生成されても、それをうまく利用してくれる常在菌もいるのです。だから、常在菌バランスを保つことこそが肌の健康につながるのですが、アンバランスになるとかゆみや肌荒れを引き起こしやすくなるのです。

 遊離脂肪酸には、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸などの「飽和脂肪酸」(酸化しにくい)と、パルミトレイン酸、オレイン酸といった「不飽和脂肪酸」(酸化しやすい)がある。

スクアレン

「スクワレン」と書くことも多いこの成分は、皮膚や肝臓にて生成されている不飽和脂肪酸の一種です。コレステロールの前駆体でもあるため、体に残るスクアレンの量はさほど多くないですが、皮脂には10%程度含まれています。

スクアレンには酸素を運ぶ働きがあり、肌への酸素供給のことを考えたりすると、体にとっては必要な成分です。しかし、スクアレン自体酸化しやすく、これが肌トラブルの要因にもなりえるため、皮脂を放置するのはまずいでしょう。

一方、似たような名前で「スクワラン」というのがあります。スクアレンに水素を結合させた成分で、サプリメントや化粧品によく添加されています。

コレステロール

脂肪の一種で、上のスクアレンから変化した成分でもあります。皮脂中に含まれている量は少なく、たったの1.5%です。

コレステロールといえば、血液のお話が代表的ですよね。コレステロール値が高いと命にかかわる重大な病気にかかりやすくなったりしますが、細胞膜やホルモンに必要な成分であるため、不足も問題です。

ただ、コレステロール値の高くなる食事をすると皮脂分泌量が増え、皮膚上で酸化して過酸化脂質となってしまう確率も上昇。過酸化脂質は肌トラブルの原因となります。

コレステロールエステル

コレステロールと脂肪酸が結合したエステルで、「コレステリルエステル」と呼ぶこともあります。皮脂の中に含まれている量は、たったの2.5%ほどです。

「コレステロール」と名前こそ似れ、あまり話題には上ってこない成分ですね。

ワックスエステル

WE

「蝋」(ろう)や「ワックス」とも呼ばれます。ホホバという植物などのオイルもこのワックスエステルですが、人間にまつわるお話では皮脂の主成分であるということが有名です。皮脂の約22%がこれなのです。

美容グッズにホホバオイルがあるように、バリア保湿力に優れている特徴があります。しかし、体内に取り込んだ場合は消化できず、便に混ざって排泄されてしまいます。

なお、深海魚にも多く含まれている成分で、どうやら、エネルギーを溜めたり浮力を調節したりすることに使われているとの見解があるようです。

その他

皮脂にはほかに、

  • 無機塩類:ナトリウム、カルシウム、カリウム、塩素など
  • 水溶性有機物:アミノ酸類、乳酸、ピロリドンカルボン酸、尿素糖など

が含まれています。

汗が入れば「皮脂膜」に

以上を読んでお分かりになったと思いますが、皮脂(=皮表脂質)には実に色々な成分が入っています。

そして最初のほうで申したように、そこに「汗」が加わることで「皮脂膜」となります。そこで肌を外的な刺激や乾燥から守ったりする保護クリーム的な役割を、存分に発揮するのです。

「皮脂膜」は、水分と油分が混ざった状態なので、完全なオイルではありません。化粧品でいうと “乳液” のようなものですね。そのため、「スキンケアの仕上げはオイルではなく乳液がふさわしい!」と力説している人もいます。たしかにそれは正論かもしれませんね(まあ実際は、そうだから良いわけでもなく、好みや結果次第という気もします)

用語のまとめ

「皮脂」なのか「皮脂膜」なのか何なのか、頭がこんがらがってしまった人もいるかと思い、ここで改めて用語の意味についてまとめてみました。是非脳内整理にお役立てください。

  • 皮脂膜: 皮表脂質(当記事でいうところの皮脂)と汗が混ざってできた、皮膚表面をバリアする天然の保護クリーム。
      ■ 皮脂膜 = 皮脂(皮表脂質) + 汗 
  • 皮表脂質(当記事でいうところの皮脂): 今回成分をご紹介した、当記事における主役。保湿の役割を果たしている。皮脂腺から出てくる皮脂(こちらが本来の意味での皮脂)と表皮脂質から成る。
      ■ 皮表脂質(当記事でいうところの皮脂) = 表皮脂質 + 皮脂(本来の意味での皮脂)
  • 表皮脂質: 角質の細胞間脂質や天然保湿因子などの脂質。保湿の役割を果たしている。
  • 皮脂(本来の意味での皮脂): 皮脂腺から出てくる脂質。保湿の役割を果たしている。

そして、我々はこれらをごちゃごちゃにして「皮脂」として呼ぶこともあります。シーンや状況によって「皮表脂質」を表したり「表皮脂質」を表したりするでしょうし、ちゃんと本来の意味での「皮脂」のことを指す場合もあるでしょう。

言葉は生き物ですから、実際の使われ方はけっこう曖昧だということです。専門家はきちんと分別をつけて使っていると思いますが、そうでない人たちはそうでないことが多いでしょう。

それはもう面倒ですよね。だから、下図の「でも便宜的に」のように考えるととても分かりやすいでしょう。

皮脂膜

本来は違いますが、「でも便宜的に」のように考えることで、変な誤解もしにくく、素人には分かりやすいと思うのです。今回もそのつもりでお話を進めてきましたし、「皮脂とは?汗とは?これらの明確な違いとは一体何か?」という記事でも、そのようにしています。

また、かの『スキンケア大学』の中のとある記事にも、

お肌の汗腺(汗の腺)からを出し、皮脂腺(脂を出す腺)から脂(=皮脂を出し、これをお肌の上で混ぜ合わせて出来た、天然の保護膜の事です。 

引用元:スキンケア大学

 赤字は当記事執筆者による補足
※ 
緑背景は当記事執筆者による強調

と書いてあるように、やはり、「皮脂膜=汗+皮脂」という考え方になっています。「表皮脂質」とか「皮表脂質」とか言葉を細かく分けて考えるとややこしいですからね。単純明快に考えてしまえと当方は思いますが、いかがでしょうか。

以上、最初のほうに書いたことの繰り返しという形となりましたが、こんがらがっている人がいるといけないと思い、改めて補足してみました。

では最後に、もう一度「皮脂」(正確には皮表脂質)の成分についてまとめて終わりにしておきましょう。

  • トリアシルグリセロール(約25%)
  • ジアシルグリセロール&モノアシルグリセロール(約10%)
  • 遊離脂肪酸(約25%)
  • スクアレン(約10%)
  • コレステロール(約1.5%)
  • コレステロールエステル(約2.5%)
  • ワックスエステル(約22%)
  • その他

以上です。何かの際にお役立てくださればと思います。


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